ソメスサドルの「リミックス しぼりバックパック」が2024年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞いたしました。
伝統的な革の造形技法「しぼり」。現代では廃れつつあるこの技法を活かし「新しい定番として、現代のライフスタイルに合うバッグを」と新たに挑戦したのがコミューター(通勤者)バッグです。
馬具作りで培った素材の選定眼と技術を駆使し、レザーとは思えないような美しいフォルムと高級感、暮らしに長く寄り添う堅牢度と機能性を叶えました。
グッドデザイン賞について
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「しぼり」は縫製や貼り合わせをせずに革を成形する技法。力や熱によって成形した形を維持し続ける「可塑性」はゴムや生地には無い、革ならではの特長とも言えます。湯通ししてプレスして自然乾燥することで立体的に成形しますが、自然素材ゆえに乾燥時に歪みが生じやすく、素材と工程の見極めが難しいために現代では技術者が減り廃れつつある技法でもあります。
ソメスサドルでも受け継がれてきた技法。湯通しの具合やプレスの時間・回数、ひとつひとつの工程において、ほんの少しの違いが成形の仕上がりに大きく左右しやすく、経験と感覚に委ねられるしぼりの技術は、ソメスサドルでもごく僅かな職人でしか成せません。長年の経験と試行錯誤を重ねて、しぼりの面積が広くなりより歪みのリスクの高いバッグの本体として形にすることを叶えました。
しぼりにまず求められるのは素材の選定。変形しても革表面が割れず、かつ乾燥時の歪みが少ない素材は革の中でも限られます。しぼりバックパックをつくるにあたり、しぼりに適したオリジナルの革をタンナーの協力で新たにお作りいただきました。
表面のコーティングを施さず限りなくナチュラルな状態で仕上げたタンニンレザーは、自然のシワや血筋、さらにはキズや黒点なども多く残ります。小さなキズや点でも成形すると大きな裂けになることも。しぼりに適していながら、裁断においては選定が難しい素材でもあるのです。
しぼりを終えたパーツは、次にバッグの組み立てに移ります。
しぼりバックパック用に作った専用の木枠を使って、内装を貼り合わせ、側面の革、ファスナーを貼り合わせる、バッグ全体のフォルムを決める重要な作業です。
しぼりのパーツは乾燥時に革が縮むため、ひとつひとつ僅かに形が異なっています。フォルムに歪みを生まないために、しぼりの形状に沿って細かな手作業で内装生地を貼り合わせ、ファスナーはエレメント1つ単位で貼り合わせを微調整することでフォルムを決めます。
貼り合わせた本体はミシンの縫製へ。スイングミシンという特殊なミシンを使います。
土台となるアームが垂直方向に回転するミシン。立体的で曲面の縫製が可能なうえに、バッグ本体の外周を途切れず縫製出来ることで、スッキリとスマートなデザインに仕上げることが出来ます。
細かな曲面に対応できる一方で、支えとなる土台が狭いため、縫製のラインが曲がらないよう本体位置を細かに調整しながら縫い進めなければなりません。一度のミシン掛けで全体のフォルムが決まる重要な作業。そのためにも前段階の成形はとても重要です。
洗練されたデザインの中にも、馬具メーカーである「ソメスらしさ」は忘れません。ハンドルには「サドルホルダー」を採用しました。
サドルホルダーは、鞍の前方に装着するパーツのこと。騎乗時のバランスを支えるパーツはいわば命綱、”SOS”とも呼ばれています。しぼりバックパックでは、サドルホルダーの仕様そのままに堅牢な革芯を使い、さらに負荷のかかる一部の箇所は、馬具由来の手縫いで強固に縫い合わせて仕上げています。
受賞にあたっては、伝統技法「しぼり」を守るだけでなく、現代のライフスタイルに寄り添う新たな価値を提案する姿勢を評価いただきました。
馬具メーカーならではの経験で培われた確かな素材選びと高い技術力により、洗練された美しいフォルムと上質さを叶えました。ソメスサドルの技術の粋を集めた唯一無二のバックパックを、ぜひご体感ください。
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