ソメスファクトリーに並ぶ多種多様な革たち。
使うのは主に牛革ですが、色や厚み、風合いと一つ一つ違う顔を持っています。
特に安全性を求められる馬具に使う革は、耐久性を重視して作られたものが多く、一般的な財布や鞄では出会えない革たちばかりです。
ソメスの馬具用の革の中でも特殊なのが、ばんえい競馬の手綱に使われる「多脂クロップ」。
重さ1トンにもなるパワフルなばん馬のための馬具には、数ある革の中でも特に厚口で堅牢なヌメ革が使われています。
もはやロールで巻けないレベルの厚口で大きな革は、ファクトリーでも一際存在感を放ちます。
北米産の厚口の皮を100%植物性のタンニンで鞣したヌメ革。
油材と共にドラムへ入れて回転させることで、堅牢かつしなやかな革に仕上げています。
道具用につくられた革は、美しさよりも耐久性を重視し表面加工を行わないため、血筋やシワ、キズなどが多く見られます。
● | スタッフの馬具愛用品見せてもらいました |
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● | 使って半年、手に馴染み良い革のマウスパッド |
● | デメリットを活かして味に唯一無二の8年物コースター |
● | 綺麗に育てるならお手入れのプロが教える3ステップ |
馬具でしか使われない革を、革製品として形にする。
これは馬具と革製品の両方をつくる、ソメスだからこそ出来ること。
先日「ドムスシリーズ」でソメスの革製品として初お目見えした「多脂クロップ」ですが、長年手綱を作り続けながら、もっとこの革を活かせないかと様々なサンプルを作り、そしてスタッフ達が密かに使い、育てていました。
コーティングもカラーリングも施さない、ソメス至上「最もナチュラル」と言える革で作った革製品。
実際に使うとどのような変化を魅せてくれるのか、愛用するソメススタッフに伺いました。
まずは営業スタッフが使うマウスパッドをご紹介します。
こちらはどのくらい使っていますか?
「半年くらいだと思います。以前シリコン製のマウスパッドを使っていたんですが壊れてしまって、それを機に使い始めました。」
この革にした理由はあるんでしょうか
「多脂クロップとブライドルレザーで2つ選択肢があって、目に見えて経年変化しやすいと聞いてこちらを選びました。はじめはベージュ色だったのにあっという間にブラウンになりましたね。」
>経年変化する前の革と並べてみた
経年変化する革が好みですか?
「好きですね、もちろんそうじゃない革の良さもありますけど、ナチュラルに近い方が”革を使ってる”気分になれて、変化も楽しいですしね。ここまでナチュラルな革を手にする機会も無かったので、使ってみたいなと。」
お手入れはしてますか?
「特にしていません。でもマウスと手を滑らせるからでしょうか、表面にほんのりツヤが出てきた気がします。」
実際に半年使ってみてどうですか?
「快適です。革のマウスパッドを使うのは初めてですが、マウスの操作も不便さはないですし、手の当たりも硬くなくサラッとしていて。
使いながらたまに眺めたりしています、でもシミを付けてしまったんですよね…。」
本当ですね、これは想定外?
「想定外です…。タンブラーやペットボトルの水滴が飛んでしまって、お手入れしなくとも綺麗に使いたいと思っていたので初めて付けた時はショックでした…。すぐ拭ったんですがしっかりシミになりましたね笑」
今となっては結構ついてますね笑
「そうなんです、結局同じことを繰り返してしまいました笑 これも味として、これからも育てていければいいなと思います。でも水にはなるべく気を付けたいです。」
続いて営業スタッフが使うコースター。
すごい年季が入ってますね
「8年物です。」
8年!確かに見た目にそのくらいの年季を感じますが、初めて見た時、厚みと色から木のコースターかと思いました笑
これは一枚革なんですか?
「一枚革です。 この革はばんえい競馬の手綱に使う革で、手綱に使う部分は裁断の箇所でいうと背中の辺りで6-7mm。普通の革製品ではまず使わない厚さです。」
馬具用ならではですね。
>未使用の見本は5mm、わずか3mm差でも大きな違い
「そうです、そしてこの革は特殊で首周りが少し厚くて、コースターはその厚い箇所で型抜きしてもらいました。これで8mmです。」
手綱よりも厚いんですね!
見た目もかなりシミというか…色濃くなっているのはどう使われたんですか?
「色もあえてシミをつけたんです。」
あえてですか?
「多脂クロップ自体経年変化が激しい革で、コーティングもしていないから水もすぐシミになる。だったら本来のコースターの役割らしく、とことんシミを入れてみようかと思って。結露したペットボトルを置いたら水滴が落ちるでしょ?それを繰り返しました。」
だからこんなに色濃くなっているんですね。でも汚いというより、年季が入ってかっこ良ささえ感じます。
お手入れはしていましたか?
「してないです。水を入れてガシガシ使うことがお手入れみたいな笑」
8年使って変化する中で気付くことはありましたか?
「長く使って、水もたっぷり入れたりしたんですが、歪まないんですよね。革って湿気や乾燥で歪んだり縮んだりすることがあるんですが、一切感じたことがないです。しっかり厚みがあるからかもしれません。」
まだまだ使えそうですね。
「そうですね、まずは10年を目指します。」
>ドムス限定の馬具用オイルレザーは多脂クロップを使っている
営業スタッフは二人ともあえてお手入れをせず使っていました。
もちろんそれも味わいの一つではありますが、そうは言ってもできるだけきれいに使いたいですよね?
それにはやっぱり、きちんとお手入れするのがおすすめです。
長年店頭でお客様の愛用品をお手入れしてきたスタッフにお手入れ方法を伺いました。
「ヌメ革のシミはまず避けることはできません。
シミのメカニズムは、水分や油分を革がいきなり吸ってしまうこと。それをできるだけ避けるためには、革を“おなかいっぱいの状態”に近づけるのが一番です。」
表面に水滴ができるとシミになるので、濡らすというよりは湿らせるという感じ。まずは水拭きによって革に適度に水分を含ませます。
塗りはじめはクリームの付いた部分が色濃くなりますが、乾けばある程度戻ります。
コツはとにかく「少量ずつムラなく」。塗り終えたらブラッシングまたは乾拭きをし、表面が乾いたらまた少量クリームを伸ばしブラッシングと乾拭き。もうあまりクリームを吸収しなくなったかなというところまで数回繰り返します。
②の工程で終了してもいいですが、ツヤ感も欲しいなと思ったらワックスで仕上げると良いでしょう。水をはじきやすくなるので安心です。ただ、ワックスが入ると色がすぐ濃くなるので、お好みで調整してください。
使うほどその色合いを変え、手に触れて、あるいはお手入れを加えて艶を纏う。
使い方によって多様な表情を魅せてくれるのがヌメ革を使う魅力です。
シミになりやすいというデメリットをうまく活かせば味わいに変えられます。
あなたならどう使いますか?
ドムス限定「馬具用オイルレザー」は数量限定につき、なくなり次第終了いたします。
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