ソメスサドルのものづくりを昇華させてくれるタンナー「フランス”HAAS”」

ソメスサドルのものづくりを昇華させてくれるタンナー

フランスから世界に名を轟かせるHAAS

世界中の革の中でも、最上級の手触り。触れた瞬間からしっとりと馴染み、それでいてさらっと爽快感もある。そんな仔牛のきめ細やかさを最大限に引き出した革。HAAS社のなめすカーフは、多くのそれとは明らかに違います。ひとことで表現するのが難しく、ぜひお手にとって感じてみてほしい。そう強く思うレザーです。

HAAS社はフランス北東部アルザス地方のミッテルベルカイム村に本社を構える歴史あるタンナーです。創業は1842年。代々受け継ぐ家族経営でありながら、ラボラトリーをつくるなど研究開発、創意工夫を重ね、世界中からその品質の良さを認められています。

ソメスサドルでは製品に合わせて国内外から様々な革を仕入れていますが、海外のタンナーはロットや輸送コストのハードルが高いのも事実。そんな中、いくつかの名門タンナーからは供給を受けており、特にHAAS社は取引の始まりも古く、取り扱い実績も多い、ソメスにとって大切なパートナーです。

▶︎HAAS社。アルザスは広大なオークの森が広がり、上質な湧き水が豊富。

HAAS社屋

※タンナー…革を鞣す職人のこと。

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HAAS社屋

▲HAAS社。自然に広大なオークの森に囲まれ趣きある社屋

HAAS社はフランス北東部アルザス地方のミッテルベルカイム村に本社を構える歴史あるタンナーです。創業は1842年。代々受け継ぐ家族経営でありながら、ラボラトリーをつくるなど研究開発、創意工夫を重ね、世界中からその品質の良さを認められています。

ソメスサドルでは製品に合わせて国内外から様々な革を仕入れていますが、海外のタンナーはロットや輸送コストのハードルが高いのも事実。そんな中、いくつかの名門タンナーからは供給を受けており、特にHAAS社は取引の始まりも古く、取り扱い実績も多い、ソメスにとって大切なパートナーです。

ソメスとHAASの出会い

馬具のカタログ

時は2003年。当時のソメスは、砂川ショールームと東京営業所を中心に、それまでのOEM生産の比率を減らし、自社ブランドの販路を広げていこうとしていました。

「もっと良い革を探そう。」

当時の染谷純一社長(現相談役)はヨーロッパへ赴きました。イタリア、ドイツ、フランスの多くのタンナーを訪問し、新たな革を求めて歩きました。

「いくつかのタンナーを回りましたが、HAAS社を訪れたとき、私たちは馬具メーカーだということを伝えると、特別に歓迎してくれました。当時の馬具カタログを見せた瞬間に相手の表情が変わり、他の社員たちを呼び寄せて『東洋にもここまで馬具をつくれる技術があるのか!』と感動されたのを憶えています。」(染谷相談役)

HAAS社の革

▲HAAS社の革。床面にはHAAS社のロゴマーク。

普段はあまり見せないという工場や研究室も見学させてもらい、その後商談へ。
提案された1枚のカーフ(仔牛革)を見た瞬間、衝撃を受けました。それまでも様々な革を見てきましたが、初めて体感する手触りでした。きめが細かく心地良い。なおかつ爪を押し付けても少し待つと元通りになるコシの強さ、堅牢性がありました。

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「北海道の馬具メーカー」から「世界へ挑戦する革製品ブランド」に

ちょうどそのころ、東京の大手百貨店において「ソメスサドル」ブランドでの常設コーナーの展開が決まり、その準備を手探りで始めたところでした。
当時のものづくりの拠り処は、今も変わらない「馬具づくり」でしたが、北海道で実直にものづくりを続けていたことから、どうしても武骨な印象のプロダクトが多い面もありました。

ところがHAAS社から入手したカーフで財布をつくると、明らかにそれまでとは違う、馬具由来のテイストを消すことなく、上品さが増した仕上がりになりました。格式高いオーラのようなものが出たのです。

「ハードな革、ソフトな革、両方を自在に扱える馬具職人の技術」の表現に、奥行きを出すことができました。

サミットにて贈呈されたバッグ

大手百貨店の顧客層にもぴったりとハマり、一気にヒット商品に。その後も財布類ではアイテムを増やし、ダレスバッグも好評をいただきました。そして2008年、洞爺湖サミットで各国首脳ご夫婦に贈られた鞄にも、「ソメスが選ぶ最上級の革」として、HAAS社のカーフを使い、名実ともにソメスにはなくてはならない革となったのです。

のちにHAAS社の営業担当に聞くと、

「ソメスサドルの印象は、HOKKAIDOという地での馬具づくりを、TOKYOのタッチに落とし込むことに成功しているブランドだと思っている」

との言葉をいただきました。とてもありがたいメッセージですが、振り返ればHAAS社の革によって大きく進化できたと言っても過言ではありません。

HAASの最高級カーフの魅力を2シリーズの小物で引き出す

ソメスのFELLとFRIESIAN

初めての訪問当時は「輸入」は商社の専売特許。そんな時代に経済産業省の認可を受け始まったHAAS社からの直輸入は、途切れることなく今でも続き、ソメスの職人によって様々な製品になって、使う方々の手に渡っています。

この冬、HAAS社の革でつくる新しい2つのシリーズを発表します。

選んだ革は、「NOVONAPPA®(ノボナッパ)」。HAAS社を代表するカーフで、心地よい指ざわりはもちろん、丈夫さ、扱いやすさも保ちながら、革らしいナチュラルな風合いも最大限に引き出しているため、経年変化も存分に楽しむことができます。

フリージアンは今年生まれた新シリーズ。大きく開くボックスタイプの小銭入れが使いやすく、蹄鉄の刻印がワンポイントです。

両者の技術が重なり合うものづくりはこれからも

HAAS社の職人達

Tanneries HAAS, Eichhoffen (67) – Photo © Studio Cui Cui 2009

ソメスサドルが、先人から受け継いだ選定眼と技術で革製品づくりに向き合っているのと同じく、HAAS社のタンナーとしての革づくりにもこだわりがあることを教えていただくことができました。

「私たちは食肉加工場と直接ルートを持ち、常に最高の原材料を使用することに重点を置いています。そして原皮から完成した革までの全なめし工程を、すべて自社工場内でマスターしています。お客さまのリクエストに忠実に応えるため、技術者はもちろん、営業担当者も最高のプロフェッショナルであるよう努めています。」(前出のHAAS社営業担当)

パリからは約4時間、最寄りの都市ストラスブールからは約1時間かかるHAAS社の工場は、自然に囲まれたロケーションという面でも、北海道砂川の地に工場を持つソメスサドルとどこか通ずるものがある気がします。
(ミッテルベルカイムはワインで有名だそうです)

出会いからずっと変わらず、上質な革を提供し続けてくれるHAAS社。これからも両社の技術を掛け合わせたものづくりを、ぜひその手でお確かめください。

▶︎HAAS社屋。毎年、煙突の上にコウノトリが巣をつくるのだそう。

HAAS社
HAAS社

▲HAAS社屋。毎年、煙突の上にコウノトリが巣をつくるのだそう。

パリからは約4時間、最寄りの都市ストラスブールからは約1時間かかるHAAS社の工場は、自然に囲まれたロケーションという面でも、北海道砂川の地に工場を持つソメスサドルとどこか通ずるものがある気がします。
(ミッテルベルカイムはワインで有名だそうです)

出会いからずっと変わらず、上質な革を提供し続けてくれるHAAS社。これからも両社の技術を掛け合わせたものづくりを、ぜひその手でお確かめください。

HAAS社の革で作る新しいアイテム

バリエーション豊富な財布シリーズ

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