長らく革をご愛用いただく中で、「革の輝き」といえばどういったものを思い浮かべるでしょうか。
光沢ある仕上げを施した革ですか?
オイルをたっぷりと含んだブライドルレザー?
それとも経年変化を刻みツヤを増したヌメ革か、
はたまた革のダイヤといわれるコードバンでしょうか….。
それぞれに違った特徴があるものの、上質な革の輝きは、手元やスタイルを上品に魅せてくれますよね。
革ならではの独特のツヤに思わず目を奪われてしまうものです。
そんな革の美しいツヤについ魅了されてしまうという方にぜひ知っていただきたい、特別な革がございます。
シボの一つ一つが光を放ち「革の黒ダイヤ」の異名を取る稀有な素材です。
一見、モダンな素材に見えて、実はとても歴史のある革。
その背景を知れば、きっと心惹かれるはずです。
日本産の黒毛和牛を原皮に用い、卓越した技術によって手間暇かけてつくる黒桟革(くろざんかく)。
シュリンクを施した革の表面に、漆を施すという日本ならではの特殊な製法の革です。
シュリンクの凹凸の凸部分にのみ漆を塗り重ねるのは、卓越した職人だけが成せる技。
漆を塗っては時間をかけて乾燥させ、さらにまた塗り重ねていく・・・、この工程を何度も何度も繰り返します。
凸部分に塗られた黒い漆一つ一つが輝く様が、小さなダイヤを散りばめたように光り輝くことから「革の黒ダイヤ」と呼ばれています。
革 × 漆という日本ならではの組み合わせ。
古くは戦国時代の武将の甲冑に使われたという歴史があり、現在も剣道の胴胸などに使われています。
また、染色や漆を施す前の「白鞣し」という状態で、竹刀の柄革や中結いなどにも使われるのだとか。
▶︎白鞣しされた革は、剣道の竹刀にも使われる
この「白鞣し」という鞣し方法は日本独特のもので、薬品を使わず、水と塩・菜種油だけで鞣す、環境にも優しい製法でもあります。
そんな、日本の歴史的価値も高い黒桟革ですが、現在では、つくれるタンナーは世界に1社、「坂本商店」のみ。なめしから漆塗りまですべての工程を一貫し、手作業でつくられています。
▶︎タンナー「坂本商店」にて、漆塗りの作業台
坂本商店のこだわりは、国内のコンテストはもちろん、海外にもその美しさが認められているだけでなく、化学薬品を極力使わないその工程により、エコレザーとしても正式に認定されています。
坂本商店がつくる黒桟革は、日本人の美的感覚と細やかな技術で作られた「THE 日本の革」といえるでしょう。
丹精込めてつくられた黒桟革を贅沢に使い、スリムウォレットをおつくりしました。
漆が細やかに煌き、手に取る所作さえも美しく上品に魅せてくれます。
本体革・内装の合わせも薄く仕上げているので、L字ファスナーを開くと内装も広く開きます。
小銭入れはスリム仕様に合わせて、ファスナーレスのポケットタイプ。ファスナーが無い分広く開き、コインが見やすく出し入れもスムーズです。内装の縦幅に合わせた深いポケットなので、持ち歩きでコインが溢れる心配もありません。
通常の長財布・二つ折りに劣らないポケット数で、スリムでありながら常用のお財布として十分な収納力を持ち合わせています。
荘重な甲冑から掌に納まるスリムウォレットへ。
黒桟革という歴史ある素材の背景を知ると、その輝きもより美しく品を感じます。
ビジネスで、プライベートで、あなたのファッションの武器になり得るアイテムです。
いや、ただのファッションでは終わらない、さらなる「深み」がそこに生まれると思います。
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