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アタッシェケース製作の裏側

時を重ねても
愛され続けるものを目指して

アタッシェケース製作の裏側

暮らしに寄り添う革製品。ソメスファンの皆さまなら、バッグや財布など身近な存在として日々ご愛用いただいていることかと思います。

馬具づくりからはじまった、半世紀以上のものづくり。
ソメスサドルは今年で60周年を迎えます。

日々ものづくりと向き合いながら、技術を受け継ぎ積み重ねてきた60年、その集大成として特別な「アタッシェケース」をつくりました。

箱型でハードな仕様が特徴的な「アタッシェケース」。
その起源は、フランスで外交官などが書類を運ぶために使っていたケースだと言われています。
以来長い年月を経て、素材やデザイン、用途のバリエーションは大きく広がりました。

ソメスが日頃作るレザーバッグとは一風変わったアタッシェケースですが、実はソメスの前身「オリエントレザー」時代に手掛けていたそう。当時のサンプルが今も残っています。今回の製造にあたっては、まずはサンプルでつくりを確認するところからはじまりました。

ソメスが厳選する馬具基準のブライドル

本体革は馬具メーカーであるソメスサドルが厳選する、イギリス セドウィック社のブライドルレザーを採用しました。

生後24か月以内の原皮を用いた、比較的しなやかなブライドルレザー。100%植物性のタンニンでじっくりと時間をかけて鞣され、たっぷりとオイルを含ませています。
高い耐久性と堅牢度を追求したブライドルレザーは、古くから馬具用の革として使われ、セドウィック社が仕上げた革は英国王室の馬具にも使用されています。

装飾を少なくスッキリとしたデザインに仕立てたのは、ブライドルの表情を存分に味わって欲しいため。たっぷりと含んだ油分が織りなす「ブルーム」、血筋やシワもそのままに、そして使い込むうちにブルームが薄れ美しい艶へと移り変わる様は、それだけで何よりも「最上の装飾」と言える魅力があります。

ミリ単位の微調整、アタッシェ特有の製法

革製のアタッシェケースは木を土台として表面に革を貼り合わせて作られます。
まずは外装の広い面に革を貼ってから側面、そして底面へ、正面と側面は予め縫いあわせたものを木枠に嵌めて貼り合わせます。

隙間やズレもなく、木枠にぴったりと合う革をつくるのは、職人の繊細なステッチワークの魅せどころ。さらにブライドルレザーは油分が強く滑りやすいのでピッチ(ステッチの幅)が狂いやすく、ピッチを確認しながらゆっくりとミシンの針を進めます。

革を貼り合わせたら、金具を打ち込む作業に進みます。
本体を留める上部の錠、底の蝶番は開閉の機能に関わる要。さらには革のステッチの位置まで、2枚の本体を位置違わずぴったりと合わせるために、ミリ単位での調整が求められます。

ハンドルはソメスの代名詞をベースに

ハードな本体に合わせるハンドルは、ソメスの代名詞ダレスバッグのデザインをベースに。一つ手でもしっかりと持てる太さ、そして強度の芯にブライドルレザーを巻き、手縫いで強固に縫い上げます。
仕上げにコバを塗り、磨きを重ねて美しいコバ面に。ソメスの日頃の細やかな技術の見せ所です。

還暦のソメスにちなんだ赤い内装

外装を貼り金具を打ち込んだら、続いて内装を貼り合わせる作業に移ります。
内装には細やかなシュリンクで肌触りなめらかな牛革を採用しました。

真っ赤なカラーはソメス60周年の”還暦”にちなんだカラー。本体革のブラック、金具のゴールドと相まって、上質な雰囲気を演出します。キルティング柄のステッチは、馬と鞍の間に敷くキルティングゼッケンをモチーフにしたデザインです。

内装も木枠のサイズに合わせたパーツをつくり、面ごとに貼り合わせます。

日常に上質を添えて特別な一日を

長い歴史の中で受け継がれ、今も変わらずあり続ける革製のアタッシェケース。
ソメスが厳選する最高のブライドルレザーでつくる特別なアタッシェは、アタッシェそのものが持つクラシックなイメージを超えた、現代的なスタイリッシュさの漂う一品に仕上がりました。

「スマートで、ラフで、機能的」な日頃のバッグでは体感できない非日常感を味わってみませんか?